コイツ、俺の嫁候補。
──一瞬、息が止まった。
さっき畳んでいた洗濯物と同じ柔軟剤の香りと、那央自身の甘く爽やかな香りが鼻をかすめ。
逞しい身体の温もりと、少し早い心臓の鼓動を感じる。
「な……お?」
ど、どうしたのあたし……普通ならこんなことされたら突き飛ばすでしょ!?
なのに、何で震える声しか出せないのよ……!
そんな、動かないあたしの身体を抱きしめる力を強め、那央は熱く切なげな声を漏らした。
「……俺にしろよ」
──胸が。
「縁に合うのは、あいつじゃなくて俺だ」
胸が、きゅうきゅうと締め付けられて、苦しい。
なに、この感じ……窒息しそう!!
心臓はありえないくらい激しく動いてるし、初めての感覚だ。
だって、男の人に抱きしめられたことなんて一度もないんだから──!