桜が咲く頃~初戀~
綾香帰郷
圭亮が川嶋家に帰宅して玄関に入ると賑やかな笑い声が居間から聞こえて来ていた。玄関には見慣れない女性物の白いローヒールと小さな男の子の青い靴がキチンと並べて置かれていた。

『お客さん?』

そう呟いた圭亮は居間には行かず二階の自室に行こうと階段に足を乗せたその時。


『圭。久しぶり』

聞き覚えのある懐かしい女性のハスキーな声がした。一瞬ピクとして立ち止まり階段に降ろそうとしていた足を元に戻した圭亮は声のする方に首だけ回して振り向いた。


『綾香…』

綾香は1歳くらいの小さな男の子を抱いてニヤニヤしなが立っていた。



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