桜が咲く頃~初戀~
その笑い声に彩未は目が覚めて布団から這い出でると寒そうに身震いをして目を両手の甲で擦りながら

『どうしたん?』

と不思議そうな顔で聞いて来た。

『彩未ちゃんや。風邪引いたらいかんからお洋服着替えてご飯にたべようかね?』

そう、おばぁちゃんは言って彩未の元へ行くと大阪から持って来ていたボストンバッグから彩未の服を出そうとした。

『ちゃうねん。彩未な昨日買ったお花のワンピース着たいねん』

彩未がそう慌てておばぁちゃんに言うとおばぁちゃんは、赤いセーターとデニムのジーンズを出しながら


『そうか?でもな。今日は雪降ると言っとったしな。寒いからコレにしなさいや』

と言いながら少し不満気な彩未に渡した


彩未は膨らませていた頬っぺたを縮ませて、おばぁちゃんの「雪が降る」と言う言葉に今度は目をキラキラさせた。子供の表情や、気持ちの変わりの速さに香奈は関心させられ微笑ましく思った。

そうして、彩未が着替えている間におばぁちゃんは土間に降りてきて


『香奈、大丈夫やそろそろ「コトダマ」も機嫌直してくれるやろ』

そう言っておばぁちゃんは香奈に可愛い笑顔でニッコリ微笑んだ
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