桜が咲く頃~初戀~
香奈には自分の想いを一方的に伝えただけで止まっている。そんな事しか出来ない自分を情けなく思っていたけれど今はこれ以上の事を行動にしてはいけない事も圭亮は分かっている。

おばぁちゃんとの電話を終わらせてから圭亮はふと電話が置いているリビングの部屋のレースのカーテンを開けて外を見た


『雪だ』

外は1面白く染まり少し雪雲から覗かせている日差しに舞い落ちる雪がまるで硝子の屑見たいにキラキラと光ってとても綺麗だった

それを見た圭亮はすぐに部屋に戻ると白いアラン模様のタートルネックのセーターにインデコブルーのジーンズ、グレーのダウンジャケットを羽織りポケットにスマホをねじ込むと何時もの履きなれた茶色いハーフブーツを履いて玄関から飛び出た。

足元から雪と混ざる砂利を踏むザッザッと言う足音が何処か懐かしく思えて圭亮は少し笑った。そして香奈が来ると言うあの桜の樹迄を歩き始めた


まだ、心は何も決まってはいないけれど...。



< 167 / 222 >

この作品をシェア

pagetop