桜が咲く頃~初戀~
その助手席から圭亮が降りて来ると庭の湿った砂利をサクサク鳴らして香奈の元へ近ずいて来た

『ただいま。遅くなってごめん』

そう言いながら。

運転席には雄一が座ってコチラを興味深気に見ていた。


『あっ、雄一君?』

そう香奈は少し照れくさそうに香奈の前に立っている圭亮の肩越しに雄一を見ながら言うと圭亮は『うん。運転手』と言いながらダウンジャケットの右のポケットに手を入れて花柄の小さな包みを出した。その時チリンと綺麗な鈴の音がした。

それを香奈に渡すと『香奈ちゃん。開けて見て』と言った圭亮から少しお酒の匂いがした。

大人になったんだと思った香奈は少しキュンとして圭亮の優しく笑う瞳から目をそらせ包みを開けて中を取り出した。

『あっ、桜の付け根』

香奈が言うと圭亮は照れくさいのか、お酒で赤くなっているのか?赤い顔をして髪をクシャクシャと掻き回すと癖なのか?前髪を何時ものように左手の人差し指と親指て直ぐに下ろして整えた。

『うん。夏祭りの河川敷近くの神社にあった。何かこんな所を雄一に見られてると思うと照れくさいし。帰るね』

と言って踵を返すと雄一のまっている黒いセダンに向かった。



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