桜が咲く頃~初戀~
『圭、ありがとう』


そう、パンダは立ち上がって少し曲がったパンダの首を元の位置に捻って戻しながら圭亮に話しかけてきた。

圭亮はパンダを不思議そうに見ながら『え?』と呟いた



パンダの顔を脱いだ着ぐるみの人を見た圭亮は少し戸惑いながら、さっきと違う感じの顔で苦笑いした。何だか照れているみたいだった

『久しぶり』

『お、久しぶり』


2人はそう言って笑いだしてしまった。


香奈は何とも言えない空気に変わった事に戸惑ってしまったけれど、2人の様子を見ているうちに思い出された。

着ぐるみのパンダは圭亮の幼馴染の秋吉雄一だった

雄一を見つめながら圭亮はあの日の「隠れんぼ」を思い出していた。

『うぉぁー!雄一何やってんだぁ』

そう言いながら雄一の肩を何度も大袈裟に圭亮は叩いていた。

『あのさぁ、こんな田舎ぢゃ、まともに仕事つくとかなかなかないんよ。バイトバイト!っか、圭亮何でここにおるんな?おっ?』


そこ迄言ってから雄一は圭亮の肩越しにいる香奈に目を向けた


『新しい彼女か?綾香はどうしたんな?まぁ、あれやな。東京行って都会の匂いがするな圭亮』

と、雄一は小声で圭亮に話すと汗で濡れてしまっている髪の毛を右手でくしゃくしゃ掻き回した。

圭亮は「綾香」と言う名前を出された時に少しギュっと胸が締まり香奈を探した。

香奈は彩未と少し離れた屋台でソフトクリームを買っていた。多分話は聞こえていないと胸を撫で下ろした。

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