変わりゆく華たち 第一幕 散ル華





「チッ、勝者 神崎伊織。
動ける奴らは倒れている奴を医務室まで運べ!
幹部のみ此処に残れ!
それ以外の者は朝餉の準備に取り掛かれ」



土方の指示のもと、隊士たちは動き出した。


そして隊士たちがいなくなったのを確認すると、沖田は今まで開放していた道場の扉を閉めた。



「ったく、あー、
さっきはうちの隊士…山野が悪かったな」



「…は?」



何が始まるかと思えば、体格のいい奴が謝ってきた。


……誰だ?
幹部だという事は解るが。



「おいおい、忘れちまったのか?
嬢ちゃん、新八に蹴り入れてだろ」



…嗚呼。
あの時胸ぐら掴んで来た奴か。



「そうなるともう俺のことも忘れてるよな〜?
俺は原田だ。
ま、これから仲良くやろうぜっ」



そう言うと原田は俺の肩を組んできた。
俺はそれを払い落とした。



「おい佐之助。
今はそんなことしてる場合じゃねぇんだよ。

神崎、テメェの仕事は明日からだ。
朝餉前までに朝稽古を済ませておけ。
テメェんとこの隊士は明日よこす」



面倒だがしばらくは
コイツらに付き合ってやるか。

約束は約束だしな。



解った
と返事を返した。



「では神崎くん。
壬生浪士組一隊士(イチタイシ)としてこれから宜しく頼むぞ」



近藤さんは笑顔でそう言った。


俺がどこの誰だか知らないのに何故そんなふうに過ごせるのか。

よく判らない。




その後山南さんに、
明日の隊務の説明を詳しく受け
朝餉を取りに幹部のみしか入られないという
部屋へ向かった。


因みに、朝餉は美味しかった。



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