変わりゆく華たち 第一幕 散ル華
「ッ…!」
やつの少し長い前髪から見えた瞳。
それを見てさっきの寒気がコイツの瞳のせいだというのが分かった。
相手を殺るときの瞳だ。
つまりコイツは、俺を本気で殺すつもりだ。
“たかが木刀だから死ぬわけが無い”という奴もいるが、それは違ぇな。
そりゃあ、相手の力によるが場合によっては死ぬんだよ。
まあ、コイツがその気なら俺も殺られるわけにはいかねぇよな。
殺さねぇ程度にあいてをしてやる。
まずはコイツを正気に戻さねぇとな。
何が原因かは知らねぇが
コイツを正気に戻さねぇと事は進まない。
俺は木刀を握り直しコイツが振り下ろす木刀をしっかり止めた。
―――ガッ!!
道場に木刀と木刀がぶつかり合った音が響く。
互いに力を入れ合っているせいか、カチカチと小さく木刀同士が当たりあっている音も聴こえる。
俺はこいつの冷えきった瞳を見ながらこう言った。
「そろそろ、こっちも本気を出させえ貰うぞ」
俺はまだ押し合っていた木刀を力強く、コイツの方に押し上げた。