Crescent


澤野さん、まだいるだろうか。
電話をかけようとして持ってないことに気付いた。


慌てて出て来たから携帯電話を忘れてしまった。



お願いっ、帰らないで……。
まだ待っていてほしい。



だんだん苦しくなって来たけど止まったらダメだと思って公園まで走り続けた。



公園の入り口で苦しくなって立ち止まり、屈んで暫く動けなかった。



まだ荒い深呼吸を繰り返しながら中に入っていきベンチまで歩いて行くと。



澤野さんはいなかった。
帰っちゃったんだ……。



澤野さん帰っちゃったよ。
私が遅かったから……。


こんなに寒いんだもん。
何時間もなんて無理だよね。
こんな所に座ってなんていられないよね。


なんで、もっと早く……。

最初に電話が来た時にちゃんと出てれば良かった……。



私が素直になれなかったから、すれ違ってしまった。
情けなくって凄く自分に腹が立って泣きたくなった。



< 274 / 281 >

この作品をシェア

pagetop