Crescent


振り向いた彼女は泣いていた。


とりあえずこんな寒い所にいるわけには行かないなと自分のマンションに連れて行った。


彼女が落ち着いた頃、前の彼女の事や自分の気持ちを話した。



玉砕覚悟だった。



「琴音ちゃんの本心を言ってくれて構わないよ。
フラれても仕方ないって分かっているから――――」


「――――澤野さんが好きです――――」



彼女はまだ何かを言っていたけど、耳に聞こえて来た言葉はこの一言だった。



嬉しくなって思わず抱きしめた。


琴音ちゃんの柔らかい体を抱きしめたまま暫くじっとしていた。



「澤野さん?」



腕の中で身じろぎしたけど抱きしめたまま離さずにいた。



そっと腕を緩めたら見上げて来た瞳が涙で潤んいた。



そっと彼女の唇を指でなぞってから唇で塞いだ。



< 279 / 281 >

この作品をシェア

pagetop