駆逐系男子【更新再開】


「春子ちゃん、今日は楽しかったよ!また遊ぼうね〜」

とびきりの笑顔で笑う彼女。

あたかも、何も話していなかったかのように。



吉良くんとともに手を振る沙緒さんを見送った後、彼は私を見た。


「大丈夫?何もされなかった?」


はい、その2文字を言えばいい。

たったそれだけのことなのに、うまく声が出なくて首を縦に振るしかなかった。


「僕が言うのもなんだけど……沙緒はほんとに危険だから、出来るだけふたりきりにならないようにね」


彼はそう言った後、私の手を取って家まで送ってくれた。



この時の私は、沙緒さんの言った言葉の意味も、吉良くんが言った言葉の意味も何1つ理解できていなかったんだ。


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