《続》手にしたあとは?
手を伸ばせばすぐに触れられる距離に華乃が要るのに、また拒絶されるのが怖くて…俺は出しかけた手をジーパンのポッケにしまいこんだ。
「良かった…華乃が笑ってくれて。」
「?」
華乃は不思議そうに首を傾げた。
「俺は…」
カーン…―カーン…―
"俺は今でも華乃が好きだ"
その気持ちを伝えたかったのに、水族館の閉園を鐘の音が邪魔をした。
「帰ろう。もう遅いしバイクで来てるから送る。」
もう少し華乃と一緒に居たかった。
「ううん。一人で帰れる、平気だよ。」
やっぱり…だめか。今日はでも引き下がりたくなかった。偶然にも華乃に会えたせっかくの日だから。
「送らせて?」
「…大樹……優しくしないで。私達はもう恋人ぢゃないの。」
「分かった…」