魁の沙羅双樹
「…それで、何の用ですか」
「用がなくちゃお前と話しちゃいけねえのかよ」
「いえ、別にそういう訳じゃないですけど」
「…………桂さんが呼んでた。
それだけだ」
「それだけなら最初からそう言えばいいじゃないですか」
立ち上がった彩華を黙って見つめる高杉は
鼻を掠める桜の匂いに
目を細くした。
では、私はこれで
とヒラヒラ手を振る彩華。
「…………」
高杉は、それを見えなくなるまで
じっと見つめていた。