記憶 ―黄昏の蝶―
カイトは舌打ちする俺を前に、オロオロと言い訳を繰り返していた。
「俺っち、街の人間て頭の固い嫌な印象しか無かったんだけど、カイトと話してみてビックリでさ~!で、聞いたら噂の『光の子』が幼馴染みで、二重人格だとか言うし~!」
「あぁーっ、アキラぁ!?もう黙って!お願い!!…リュウちゃんにはアキラの事話してなかったから、自己紹介して…!」
「――あぁっ」
追い討ちを掛けるアキラは、カイトが慌てる様を見て楽しんでいた。
アキラは1つ咳払いをすると、俺に向き直って口を開いた。
「俺はカイトの友達で、アキラってゆーの。異端者とか呼ばれてるみたいだけどさぁ、生まれ育ったのがカロリスの外れだったってだけだから!細かい事は分かんねぇし!宜しくね。」
口元から八重歯が覗く。
無邪気な笑顔に親しみがわく。
差し出された手を、
俺はホッとして笑顔で握った。
「俺はリュウ。もう自己紹介がいらねぇみたいだが――…。」
そこで再び、
「ごめんなさい…」
とカイトが呟いたが無視。
「…ここの住民は皆、こうなのか?もっと協会の人間に反発的な者が多いのかと…」
「…あぁ~…水場側の俺たちは若い世代が多いからな!」