初めての恋に溺れる人魚~my first love~
「入るぞ」
「え……?あ……は、はい……」
よくわからないけど、言われるがままに中に入ってみる。
すると早速、
「いらっしゃいませ」
と、黒いスーツを着た綺麗なモデルさんみたいな女性が受付にいて、挨拶をしてくれた。
「ユリ、いる?」
そう月島先輩が尋ねると、受付の女性は、
「少々お待ちくださいませ」
と、受話器をとって、“ユリさん”という人を呼び出しているみたい……
こっそりと店内を見渡してみる私。
店内はとても広くて、細かい細工がされた掛け時計や置物があって、アンティーク……っていうんだよね?そんな雰囲気のオシャレな空間が広がってる。
待合わせをして、着いた場所が美容室。という事は―…
「先輩のお家って美容室なんですか……?」
純粋に出た結論で訊ねてみた私。
だけど、先輩は、
「はぁ?」
と、眉間に皺を寄せて怖い顔つきで私を見た。
月島先輩のお父さんは音楽関係のお仕事って言ってたけど、てっきり、ご家族の誰かが美容室をされていて、同じビルの上の階とかに住居が……なんて思ってしまったのに、今の反応だと違うみたい。