初めての恋に溺れる人魚~my first love~

だったら、どうして美容室なんかに連れて来られたの?

だって月島先輩、今日も何も言ってくれないから状況がわからなくて戸惑っているのに……

じわっと涙が溢れてくる。

私が泣きそうな顔になっていると、


「俺の家は美容室じゃねーよ」


と、キツく否定されてしまった。

さらにダメージが与えられてしまう。

海で出逢った時の月島先輩は確かに冷たい雰囲気はあったけど、優しい感じもして、笑ってもくれたのに……

私がトロイから、苛立たせちゃってるのかも……

どんどん気分が落ち込んでしまう。と、その時、


「あら。響、いらっしゃい」


聞こえてきた女のヒトの声。

慌てて瞼を拭って顔を上げて、声の方向を見る。すると、髪を綺麗に後ろに束ねた綺麗な女性が受付の横にある階段から降りてきた。

背も高くって、黒いパンツスーツがとても似合ってる。

彼女もモデルさんみたい。

月島先輩みたいな人には、こういう女性が側にいるのが似合うんだろうな、って思った。


< 157 / 421 >

この作品をシェア

pagetop