初めての恋に溺れる人魚~my first love~
「海音ちゃん、どうして眼鏡をしてるの?だって、度が入ってないでしょう?オシャレで―…って訳でもなさそうだし」
「それは―…」
「髪の毛だってわざわざ重たく染めて、前髪も絶対邪魔そうなのに伸ばしてる」
「……」
イタイとこ、突かれた気分。
自分が今まで隠してきた事を見破られた気がして、胸に小さな痛みが走った。
「ねぇ海音ちゃん、見て?」
スッと手鏡を私の顔の前に出すユリさん。
もっと近くに別人の様な自分が見える。
「綺麗な瞳ね……」
呟くようなユリさんの声に、鏡に映る自分と瞳が合う。
みんなとは違う灰青色の瞳―…
「そんなことないです。体形も顔も日本人なのに髪の毛と瞳の色はそうじゃなくて―…」
例えば私がもっと可愛くて明るい性格のコだったら、プラスに働いてくれたかもしれない。
でも現実の私は暗くて冴えない。この髪と瞳の色はコンプレックスでしかなかった。