タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
そして目覚めて、次の朝。


王子の婚約披露の宴の日までの、あたしとブランの特訓の日々がさっそくスタートした。


なにが特訓? って感じだけど・・・なんというかね。


もう全然ダメなのよ。全っ然。


「ごちそう」ってネズミの死がいを突き出されたあたりから、予想はしてた。


・・・けど! あまりにもブランって、人間に対する知識が欠乏しすぎてる!


基本的な知識がまるでなってない!


ネズミが食べられないならこれを食べろと、ヘビの死がいを持って来られた時には、もう・・・。

いろんな意味で気が遠くなった。


もうちょっと人間性になじんでもらわないと。


あたしだって奴隷だけど、スプーンやフォークくらいは使える。


もう、そこのレベルからしてブランは難関なんだもん。


「ほら頑張ってブラン。こう持って、こうすくって」


「面倒くさい! こうやって顔をつけて直接すすればいいだろ!?」


「ダメだって! ってこらこらー! 足で頭を掻こうとするんじゃないー!」


そんな子育てみたいな毎日を過ごすうちに、新たな問題点が浮上してきた。


婚約披露の宴に着ていく、ドレスが用意できないの。


ブランが変化魔法を使って、あたしの服をドレスに変化させようとするんだけど、なにせ素材が最悪だから出来上がりも最低。


困ったな。現物を手に入れるなんて不可能だし。どうしようかなぁ。


しょっぱなから計画の先行きが怪しいことになってしまった。

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