タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
バカだんなや狩人たちに見つかるとマズイ。


極力人目を避けて、わざと険しい斜面を下って行った。


険しい道だとは聞いてたけど、予想をはるかに超越した傾斜具合に、足が勝手に動いてしまう。


下りるっていうより、これ、もはや滑り落ちてる状態!


真面目に命がけの下山なんですけど!


死ぬー! 足踏み外したら、死ぬー!


無事に下山できた時には全身ガタガタ。


真剣勝負に体力も気力も使い果たして、苦悩もなにも完全にぶっ飛んでしまった。


「ここらでいいな。ひと目につかないうちに、頼む」


「承知しました。白騎士様」


ヘロヘロのあたしの横で、タヌキ精鋭部隊がひとかたまりにまとまった。


と、思うやいなや・・・『ボボンッ!』と変化魔法を発動する。


「うわっ!? ・・・うっわああぁぁ~」


口をアングリ開けて、あたしは目の前に現れたものを見上げた。


うおお、馬車だ! すっごく豪華な馬車!!

< 68 / 438 >

この作品をシェア

pagetop