ガーデンテラス703号


「もしかして、メシこれからだったりすんの?」

「あぁ、うん」

小さく頷くと、遥斗が手に持っていた唐揚げ弁当を棚に戻した。


「じゃぁ、一緒にメシでも行く?こないだ約束したきり誘えてなかったし」

遥斗に私を食事に誘うが本当にあったのかはわからない。

でも、元カレからの突然の誘いにほんの少しだけ何かを期待した。


「俺の家の近くに居酒屋があるんだけど、そこ行く?チェーンの安居酒屋だけど」

「じゃぁ、少しだけ……」

最終的に私は、遥斗に流されるままに頷いていた。

遥斗がいう居酒屋は、ちょうど彼のマンションと私のマンションの中間地点にあった。

平日だからか個室が空いていて、店員さんが2〜3人用のあまり広くはない座敷の個室に通してくれる。

遥斗と向き合うようにして座布団に座ると、すぐに店員が飲み物のオーダーを聞いて下がって行った。

下がるときに、個室の引き戸が閉められる。


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