ガーデンテラス703号
彼はつり上がった目で私のことをじっと睨みおろすと、私の前に屈もうとした。
「いや、あの」
どうすればいいかわからず、唇を震わせてミニボストンを両腕でぎゅっと抱きしめる。
全体的に、いろんな意味で怖いです……
「ただいまー」
ボストンバックを抱きしめて震えていると、明るい声と共に玄関のドアがぱっと開いた。
「あー、あゆか。いらっしゃい」
薄手のベージュのスプリングコートとブランドのバックを腕に引っ掛けたシホが、私を見てにっこりと笑う。
「シホ……」
明るい笑顔で笑いかけてくれたシホが、私にはまるで救世主に見えた。
ミニボストンを抱きかかえてちょっと涙目になっている私を見たシホは、屈もうと腰を低くしている男に視線を投げて苦笑いする。
「ホタル。あんたただでさえ目つき悪いし無愛想なんだから、初対面の子にはそういうの悪ふざけとしては受け取ってもらえないよ。特にあゆかは冗談通じにくいタイプだし」