ガーデンテラス703号


「さぁ、どうだろ」

頬を赤くして私と朋美にグラグラともたれかかっていたシホが、ほんの一瞬冷めた目をした。


「どうだろ、って……優しいんでしょ、ヒデくん」

「んー」

「んー、て。シホやっぱりまだ――……」

そんなシホと朋美のやりとりを聞きながら、私はさっき運ばれてきたばかりのマンゴーなんとかというカクテルを飲んだ。

甘くて、ほとんどジュースみたい。


「あたしのことはどうでもいいの。それより、あゆかはどうなの?今も遥斗と?」

アルコール感が全然ないそれをちまちま飲んでいると、シホが唐突に私に話を振った。


遥斗、か……

シホの口から出てきたその名前に、苦笑いする。

それは私が大学時代に付き合っていた彼氏の名前だった。


「別れたよ。もうとっくの前に」

「え、そうなの?」
「とっくの前っていつ!?」

私の発言に、シホと朋美が本気で驚いたように目を見開く。



< 19 / 393 >

この作品をシェア

pagetop