ガーデンテラス703号
「さぁ、どうだろ」
頬を赤くして私と朋美にグラグラともたれかかっていたシホが、ほんの一瞬冷めた目をした。
「どうだろ、って……優しいんでしょ、ヒデくん」
「んー」
「んー、て。シホやっぱりまだ――……」
そんなシホと朋美のやりとりを聞きながら、私はさっき運ばれてきたばかりのマンゴーなんとかというカクテルを飲んだ。
甘くて、ほとんどジュースみたい。
「あたしのことはどうでもいいの。それより、あゆかはどうなの?今も遥斗と?」
アルコール感が全然ないそれをちまちま飲んでいると、シホが唐突に私に話を振った。
遥斗、か……
シホの口から出てきたその名前に、苦笑いする。
それは私が大学時代に付き合っていた彼氏の名前だった。
「別れたよ。もうとっくの前に」
「え、そうなの?」
「とっくの前っていつ!?」
私の発言に、シホと朋美が本気で驚いたように目を見開く。