ガーデンテラス703号


「あの、私、公園まではちゃんと歩けるので」

「そう?でも、あゆかちゃん、なんか顔色悪いよ?」


森岡さんが、心配そうに私の顔をじっと見つめる。

近すぎる彼との距離に戸惑って後ずさろうとしたら、焦るあまりにバランスを崩してまたよたついた。

そんな私を、また森岡さんが助けてくれる。


「大丈夫?やっぱり、どこかで休む?」

「平気です。でも、ふらついてご迷惑なら、今日はもうこれで……」

やんわり断って帰ろうとしたら、私の肩に手をのせていた森岡さんに、そのまま引き寄せられて身体ごと抱きしめられた。

彼氏でない男の人に急に抱きしめられる経験なんてほぼないに等しいから、ときめくというよりは、ただ戸惑いだらけで身体がこわばってしまう。

抱かれた腕の中で、呼吸も忘れて固まっていると、森岡さんが私の耳元でくすっと笑った。


「あゆかちゃん、いちいち反応が初々しいよね。それって計算?」

「計算、って……?」


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