ガーデンテラス703号


ドキドキしながら、私を包む森岡さんの両腕を遠慮がちに押しやる。


「大丈夫です」

「ほんとに?」

うつむきがちに頷いたら、彼が私の肩に手を載せて顔を覗き込んできた。


「飲ませすぎちゃったかな。どこかで休む?」

私にそう訊ねたあと、森岡さんがさっとあたりに視線を巡らせる。

ふと視線をあげたから、繁華街から少し外れた細い路地の奥に、カップルで入るためのホテルのネオンが光っているのがちらりと見えて焦った。


休む、ってまさか。

繁華街の先の公園まで散歩するって話だったよね。

でも、今夜の食事はいわゆる大人のデートだから。

食事をして、その先のこともきちんと考えてくるべきだった?

今日の森岡さんとのデートに、そこまでの覚悟は決めてきてない。

妙な緊張で、胸がドキドキと高鳴り始めた。

身構えるようにカバンを胸に引き寄せる。

それを持つ手が、変な汗で少し湿っていくのがわかった。


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