ガーデンテラス703号
「もしもし……」
「出るの遅ぇよ。お前、今どこ?」
電話に出るとすぐ、怒っているようにしか思えない不機嫌な男の声が聞こえてきてドキリとした。
ちゃんと相手を確認をせずに出たけど、私のスマホの番号を知っている男の人は限られている。
この声は……
「ホタル?」
どうして、森岡さんにキスされそうになってたタイミングで電話がかかってきたんだろう。
さっきまで店で働いていたホタルが近くにいるはずなんてないのに、今の光景を見られていなかったか気になって、あたりをきょろきょろ見回してしまう。
「答えになってねぇよ。今、どこにいる?」
だけど、近くにいたら、そんな質問をしてくるわけがない。
「えっと……」
居場所を答えようとして視線をあげると、不快そうな顔で前に立っている森岡さんと目があった。
そのまま彼と向かい合って電話するのは気まずくて、彼に背を向けて数歩離れる。