ガーデンテラス703号
今の状況で、森岡さんにどういう態度をとるのが正解なのかわからなくて、逃げるようにぎゅっと目を閉じる。
そんな私に、さらに顔を寄せてくる森岡さんの吐息がかかる。
このまま、彼を受け入れる……?
目を閉じたまま覚悟を決めたそのとき。
あたりの静寂を破るほどのけたたましい音をたてて、私のスマホが鳴った。
はっとして目を開けると、同じタイミングで森岡さんも私に近づけていた顔を離す。
ショルダーバッグの中から着信を伝えるスマホはなかなか鳴り止まない。
出ていいかどうかわからなくて困っていたら、森岡さんが不愉快そうに顔を顰めた。
「いいよ、出て」
「あ、すみません……」
穏やかで優しい雰囲気だった森岡さんの声が、さっきまでよりも少し低くなる。
怒らせてしまったのかもしれない。
私はしつこく鳴り続けるスマホをショルダーバッグから引っ張り出すと、相手をよく確認せずに電話に出た。