ガーデンテラス703号
「わかった。じゃぁ、あゆかには何かノンアルのカクテル持ってきてやるよ」
「え?」
オーダーとは違うけど。
きょとんとした顔で見つめると、ホタルが小さく笑いかけてきた。
その笑顔が、私の心臓をぎゅっと締め付けて揺さぶる。
そんな私の胸のうちなんて知らないホタルは、私たちに背を向けると片付けた食器類を持ってすぐに立ち去ってしまう。
遠ざかっていくホタルの背中をつい目で追っていると、テーブルに肘をついたシホがニヤニヤしながら私を呼んだ。
「ねぇ、あゆか。あゆかって、ホタルのこと好きでしょ?」
シホに突っ込まれて、慌ててホタルの背中から視線をそらす。
「ま、まさか!何言ってるのよ」
慌てて否定したけど、動揺は隠せなかった。
つい焦って、手がテーブルに置いてあったフォークを弾き飛ばしてしまう。
床に落ちたそれが大きな音を立ててしまい、周囲のテーブルのお客さんたちの注目を浴びる。