ガーデンテラス703号




飲み終えたコーヒーのマグカップを片付けてからリビングに戻ったら、私を振り返ったホタルに手招きされた。


「おいで」

優しい声に誘われて、ホタルが座るソファーの隣に腰をかけたら、彼がニヤリと笑いながら首を振る。


「そうじゃなくて、こっち」

そう言って座り直させられたのは、ホタルの足の間だった。

背中に体重を預けるようにくっついてきたホタルが、後ろから私を抱きしめる。

すぐそばに感じるホタルの匂いにドキドキしていたら、ホタルの唇がうなじに触れた。

横に流して髪を纏めていた私の首筋は、ホタルの前に無防備に晒されていて。

彼がそこかしこに這わせる唇の熱が心地よくてくすぐったい。

思わずため息を零したら、お腹に回されていたホタルの右手が部屋着のカットソーの裾から滑り込んできた。

慣れた動きで上までやってきた手のひらが、胸をつかむ。

同時にもう片方の手はお腹の下の方へ動いて、履いていたスウェットのウエスト部分から中へと滑り込んだ。


< 368 / 393 >

この作品をシェア

pagetop