ガーデンテラス703号
「こんな時間に買い物?しかもビールばっか。あゆか、酒の好み変わったんだ?昔は甘い系のカクテルばっか飲んでたのに」
遥斗が買い物カゴの中を覗き込みながらそんなことを言う。
確かに私はビールとか日本酒とか辛口のお酒は苦手で、遥斗と付き合ってた頃は甘いカクテルばかり飲んでた。
今も辛口のお酒はたくさんは飲めないけど、昔よりはちょっと飲めるようになった。
だけど、別れて3年も経つのに私の味の好みを覚えてるなんて……
遥斗に対する恋愛感情はすっかり消えてしまったはずなのに、そんな些細なことで少しだけドキリとしてしまう。
視線をあげて上目遣い気味に遥斗の様子を窺うと、私の視線に気づいた彼が少しだけ首を右に傾けてにこりと笑った。
外見は昔より大人っぽくなっているけど、笑ったときの印象は付き合ってたときと変わらない。
顔がくしゃっとなって、少年っぽい顔になる。
その顔を数秒見つめていると、遥斗がレジのほうを指差した。