これが、あたしの彼氏です。- 2 -
「……お前が行きたいなら、行ってやっても良い」
「…………」
「どうだ、行くか。遊園地」
「……っえ、えっと…」
矢沢君がこんな事するなんて夢にも思っていなかったから、あたしはちょっとだけ息がつまりそうになる。
矢沢君、このチケットを買う時どんな顔をして買ってくれたんだろう。
「どうなんだよ。行くか行かないかはお前次第だぞ」
「え、あ、……い、行きます!矢沢君と行きたいです…っ」
あたしがついヤケになってそう吐き捨てると、矢沢君は満足したような表情で「ふっ」と小さく笑った。
「じゃあ土曜日、絶対空けとけよ」
「う、うん…っ」
「……言っとくけど、俺今デートに誘ってるんだからな」
「えっ、あ、そうだよね…っ、休みの日に矢沢君と遊園地だもんね!うん…」
「水族館の時みたいなヘマはもう手に負えないからな。リベンジする勢いで来い」
「え、わ、分かった。リベンジしてみせます…」
「ああ」
あたしが小声になりながらもそう言うと、矢沢君はまたふわりと嬉しそうに笑った。
当のあたしはデートと言う3文字に今更ながら緊張してしまい、どうしようとグルグル考え込んでしまっている。
本当にこの目の前の矢沢君は、何でもかんでも急すぎると思う。