音色
「今日はありがとね!とーっても楽しかった‼︎」

寝る前に奏にお礼を言った。

「あんなに素敵なお店、あたし全然知らなかった‼︎」

興奮気味にあたしが言うと、奏は

「楽しいこと全部俺が教えてあげるって言ったでしょ?」

と言った。

「琴音、おいで」

ベッドに座った奏は両手を広げた。

「えっ…?」

「イヤ?」

「嫌じゃ…ない」

「俺のこと、怖い?」

「怖くない」

そう言ってあたしは奏の腕の中に飛び込んだ。
奏はそっとあたしの髪の毛を耳にかけた。

「くすぐったいよ〜」

くすくす笑いながら言うと、奏は耳に何かを付けてくれた。

「何…?」

あたしはそれに触った。

「ピアス。俺とお揃い!これならちょっとごつくてもあんまり見えないし大丈夫でしょ?」

と奏は自分の耳に付いたピアスを指差して言った。
嬉しくて、あたしはポロポロ涙をこぼした。
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