音色
しばらく歩くと、奏はある店に入った。
そこにはシルバーアクセサリーがたくさんあった。
よく見てみると奏がいつも指に付けているリングにデザインがよく似ていた。

「ここ、俺のお気に入りなんだよね」

と奏は言った。
女の子がするにはちょっぴりごつめなリングたちは、あたしがはめるのにはミスマッチ。

(ちょっとは奏の好きな物を身につけられると思ったのに)

とあたしは残念な気持ちになった。
奏は、何点かアクセサリーを買っていた。

「次はこっち」

手を引かれるまま入ったお店は、水槽のある落ち着いたバー。
水槽の中には青や黄色の魚がのんびり泳いでいた。
普段飲まないようなカクテルを奏に勧められて飲んだ。
さっきのシルバーアクセサリーのお店も、このバーもひっそりとしたところにあってこういうお店たちがあるなんて全然知らなかった。
あたしの知らない世界に、奏は連れて行ってくれたのだった。
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