音色
「琴音は優しいしそれなのに芯がしっかりしてて、それ見て箏の神様が頑張りなさいって言ってるような気がしたんだ」

「あたし、奏の演奏テレビで聴いたよ。力強いのに繊細な音が奏そのままだなって思った。だから、あたしも負けないで頑張らなきゃって思ったの!」

あたしたちはお互いを褒め合ってるのがなんだかおかしくて、顔を見合わせて笑った。

「…やっと笑った」

いきなり奏が言うから、あたしの心臓はドキンと音を立てた。

「琴音に、会いにきたんだ。海外から帰ってきてそのまま」

「…え、だってボーカルの人と…」

「うらら?」

「うん。一緒にいたの見たもん」

「うららに、いい加減戻ってこいって言われただけ」

「だって、ずっと前から知ってるような雰囲気出てたもん」

「そりゃーね、もう何年も一緒にやってるんだから」

「付き合ってるわけじゃ…」

「そんなわけないよ!うららは仲間で、ライバルみたいな感じ」

「えーっ‼︎」

勘違いしていたことを知って、恥ずかしくなる。
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