㈱恋人屋 ONCE!
ふわりふわりと雲が漂う。
「紗姫。」
同じく空を見上げた菜月くんが言う。
「俺、お前のことが一つ分かった。」
「ん?」
「紗姫って…キレイなんだな。」
「…へ?」
まさかの、化石のようなほめ言葉。でも、そんな言葉も私は言われたことがないのだ。
…いや、言われることを拒否していた…。
「その…心が、さ。」
「あ、そっちか…いや、普通そっちだよね。」
「…?」
「私、ほめられたことがないって言ったけど…あれ、実は嘘なの。…言われることから、目を背けてただけなの。そういうほめ言葉には裏があるって、あれ以来ずっと信じてたから…。」
「そういう所だ、紗姫。」
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