㈱恋人屋 ONCE!
「お待たせ。」
夕焼けに地面を鮮やかに照らされる公園。手を振ると、菜月くんが振り返してくれた。
記者会見の様子を見た後、菜月くんから電話で「話したいことがある」と呼びだされたのだった。
「で…話って何?」
菜月くんは一呼吸置いてから、言った。
「紗姫の復讐に…協力しようと思ってな。」
「え…?」
「何か、放っておけなくなったんだ、お前のこと。…いや、別に変な意味じゃなくて、ただお前の話を聞いて、どうにかしてやりたいって思っただけ。」
「…でも…。」
私は知っていた。この計画に参加すれば、菜月くんは大変な目に遭うということを。
「これは私の問題だし、菜月くんがどうにかすることじゃ…。」
「紗姫だけじゃないっての。」
私の言葉は、私をまっすぐに見つめる菜月くんの言葉によって遮られた。
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