リベンジ
第一章 始まりの銃声
 ガチャッ―――
突然の出来事だった。体全体に衝撃が走って力が入らなかった。そのせいで仕事場にまでかかってきた電話を落としてしまったのだ。
ボビーはいわゆるエリートの道を辿ってきた。いい高校に入り、いい大学を出て、大手の銀行に就職して、結婚もして街が一望できる小高い丘の上に家も建てた。その手に入れた幸せが一瞬にして壊されたのだ。電話は警察からだった。妻が自宅で射殺されたことを伝えるものだった。警察は妻の死を伝えたあとも何か話していた、しかし何も入ってこなかった。何も・・・
最後の方に「今すぐ署にきてください」この言葉だけかろうじて聞くことができた。そのあとはどれほどたっただろうか―――。数分かあるいは数十分かただ頭の中で電話の切れたツーツーという言葉が永遠に渦巻いていた。
「どうしたんだい?大丈夫か?」急に現実に引き戻されたようだった。この銀行の所長のマイクだ。説明しようとした。今さっき聞いたことを。いつもなら報告など簡単なことだ。でも、言葉が出てこない
< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop