ベランダ越しの片想い




もうずっと行っていないアキの部屋に繋がる階段は通り過ぎ、慣れたリビングへ。



「手伝おうか」

「ううん、いい。
すぐだからアキは座ってて」



昔からよくお邪魔しているから大抵のものの置き場所はわかっている。

紅茶の用意をして、ケーキを切って……と頭にすべきことを浮かべる。



「そういえばおばさんたちは?」

「昨日から旅行。
今日の夕方に帰って来るってさ」

「じゃあ残してあるから言っておいてね」



よりによって今日、アキが家にひとりだったなんて知らなかった。

本当、来てよかった。





だって、今日だけはだめ。

アキが哀しくなりやすい日。










清水さんの初デートの日、だから。











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