ベランダ越しの片想い




ひとしきり照れ合った後、慌てたように清水さんが「あのね」と口にした。



「友だちに相席させて貰っているの。
どこも空いてなかったから」

「ああ、うん」



明らかにわたしを友だちだと思っている瞳。

わたしを一瞬だけ見て、すぐに興味なさげに清水さんの方に視線が戻される。



「隅野 咲歩ちゃんと川崎 晃くんだよ」



カワサキ。

と、確かに清水さんの彼氏が反応を示したのを見た。

言葉を飲みこむようにゆっくり頷いて、わたしのこともちゃんと見てきた。



「どうも、桜田です」



だんまりを決めこむわたしの前でアキは緩く笑みを浮かべて「よろしく」なんて言っている。



浮かれていたせいで彼氏が来るなんて思いもせず、ショックを受けている癖に気にしていないフリ。

見てて嫌になるアキの姿。

そんなのやめてしまえばいいのに。







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