美しき彼女
美しき彼女

夏祭り。その中に僕はいた。

人々の喧騒。

焦げるような食べ物の匂い。

もくもくと上がる煙。

色とりどりの浴衣を着た少女たち。


その中に彼女を見つけた。

紺の地に花火を咲かせた浴衣。

アップにした髪によって露わなった白いうなじ。

彼女は大きな瞳で僕を覗き込んだ。

僕は迷わず、自ら彼女のポイの中に飛び込んだ。

そう、僕は金魚なのだ。
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