いつか、また


それから暫く経ったある日、花奈はボールペンを拾ってくれた人物に遭遇した。


いつものように「cherry blossm」で予習をしていると


「此処、座っていい?」


優しげな声に顔を上げると栗色のショートヘアの似合う、快活そうな女性が此方を見ていた。女性はにこやかな笑顔で花奈を見詰めている。


「いいですよ」


特に断る理由もないので告げると心底うれしそうな顔でお礼を言う女性。その姿に気恥ずかしさを覚えた花奈は、それまで広げていた教科書類を仕舞いふたり分の飲み物を頼んだ。


「……わたしの分まで……お代はわたしに出させてね?」


有無を言わせぬ雰囲気で言われ思わず頷く。すると女性は満足気な顔になった。


「……うちの学校の子?」


首から下がったネームプレートを見て、女性は言うと自分もネームプレートを差し出す。


「わたしは、2年の希緒(きお)。貴女は・・・「はな」、かな?」


女性は困ったように名を告げると花奈のネームプレートを見詰める。


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