プリンセス☆ロード

第18話 『当たり前だろ』







身元がわかるものをほとんど身に着けていなかった私。
携帯は充電がきれたままで、鞄には財布すら入っていない。
まさかこんな風に帰ってくるなんて思わなかったから、向こうでは使えないお金とか必要ないものは城においてた。
携帯だけはなんとなく身に着けていたけれど…。


その携帯も充電器がなくて充電できず身元を調べられずにいたらしい。
だから、警察に連絡を入れようとしていたところだと言われた。







「でも、あなたとても不思議な格好をしていたのよ?」

「え?」

「外国の民族衣装みたいな…民族衣装ともまた違うようだったけど。コスプレか何か?」

「あ……」






私が初めてレンに会った時に感じたこと。
コスプレみたいだって。




すごく遠い昔に思える。







レンたちといた時間はひと月くらい。
人生の中では本当に一瞬。
それでも、とても濃い時間だった。





「あの、その服って…」

「ああ、泥だらけだったから洗濯してそこの引き出しにしまっているわよ」

「ありがとうございます」




私が向こうにいた証。
あの世界が本当にあったという印し。







皆が、いたという証。








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