そのとき僕は


 3日目は、さすがに自分でも言い訳をした。

 心の中で、神様に。

 暇だったんです。僕、やることがなくて、それで・・・ぶつぶつぶつ。

 つまりまたきてしまったのだ。一昨日や昨日とほぼ同じ時間に。やっぱり平日の昼間だけれど、驚くほど人が歩いている。

 皆明るい顔をして桜を見上げたり、歓声をあげたり、時折写真を撮ったりしてめいめいで過ぎ行く季節を楽しんでいた。

 さて、どうしようかな。

 彼女のことは見えるけれどあっちからは気付かれないように建物の影に隠れて、僕はそっとため息をついた。

 来てしまったけど・・・それに、あの人もやっぱりいたけれど。だけど、だから、一体なんだっていうんだ。僕は何がしたいんだ?

 そんな自問自答は結構情けない気分にさせる。それを10分ほどその場で繰り返していて、僕はうんざりしてきていた。

 ・・・声、かけないなら帰ればいいだろう。

 自分の声で自分に叱咤して、ようやく重くなった足を動かそうとした時、その離れた場所の老木が目に入った。

 何かが動いたようだったから視界が捉えたらしい。

 そこには、男が二人といつものその少女。乱視の目を細めて何とか焦点をあわせる。・・・待ち合わせ、かな?友達?それならいいんだけど、もし違ったなら―――――――――


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