そのとき僕は
よく考えたら今年の初詣でもおみくじを引いてなかったな、僕はそう思い出して、自分の分もおみくじを買う。
番号の書いた棒が入った木の箱をガラガラと振りながら考えた。・・・というか、これって僕が振ったら意味なくないか?
二つとも、結局僕の運勢のような気がする・・・そうモヤモヤしながら桜の木の下まで戻ると、座っていた彼女がピョンと勢いよく立ち上がった。
「あたし、どっち?」
ワクワクしているようだ。せめてここでくらい彼女に選ばせるべきだよな、そう思って、僕は一つずつおみくじを握った両手を彼女の前に差し出す。中身はまだ見ていない。これで公平か、と言われると果てしなく謎だけれど、まあ一度は本人が選んだことになるわけだし。
それで良しとしよう。そう思ったのだった。
「どっちにする?」
日が翳ってきて弱々しくなった夕日の下で、彼女が唸った。短い彼女の髪の毛が夕日に照らされてキラキラと光を放っている。
散々悩んだ後で、じゃあこっち、と僕の右手を指差す。中身を渡すと中に入っていた折り畳まれたクジをパッパと開けていって、彼女の目は白い紙の上を滑らかに滑っていった。
「・・・」
「どうだった?」