狂愛ノ書~紅き鬼と巫女の姫~
気になってジッと三篠を見る。
三篠は「余計なことを言うな!」と照れたように琴葉さんに言っていた。
その琴葉さんは楽しそうにニヤニヤ笑ってるけど。
そんなやりとりを見ていると、いきなり部屋の出入り口の襖がバンッと音をたてて開いた。
「…姉様と鵺姫様が来てるってほんと!?」
「え、ちょ、わ!」
出入り口にいたのは、フンワリとした黒髪のツインテールをした私よりも幼そうな女の子。
その女の子は私と目が合うなり、いきなり飛びついてきた。
私は勢いには勝てず、畳に倒れ込む。
その時に三篠がボソッと「…今日はレースの白か」と言ったのを聞き逃さず、足で顔面を蹴った。
三篠は私と反対側に倒れた。
どさくさに紛れてヒトのパンツ見るとか最低。この変態半妖が。
桔梗さんも三篠の独り言が聞こえたのか、深くため息をついていた。
それにしてもギュッと抱き締められて、苦しい。
「ちょっと、姫様が苦しそうにしてるじゃないかい。離しておやり」
「わ、ごめんなさい!」
瑠璃葉が言ってくれたおかげで、なんとか助かった。
女の子は慌てて起き上がってペコペコと頭を下げてきた。
「ちょっとびっくりしただけだから、そんなに謝らないでいいよ…えっと…」
名前を言おうとしたけど、そういえば名前が分からないことを思い出す。
それに気付いたのか、女の子は胸に手を当てて教えてくれた。
「…あ、私の名前ですよね!私は菊葉(キクハ)、瑠璃葉姉様がいつもお世話になってます鵺姫様」
菊葉ちゃんはニコッと笑って、小首を傾げた。
その笑顔はもう破壊級で、天使を見ているよう。
……そういえば瑠璃葉姉様って言ったよね?
「…菊葉ちゃんは瑠璃葉の……」
言いかけて私の言いたいことが分かったのか、瑠璃葉は菊葉ちゃんの肩を抱いてふっと笑った。
「その通り。菊葉はアタシの妹だよ。
と言ってもアタシらは異父姉妹だから、菊葉は毛倡妓の純妖なんだ」
瑠璃葉は説明しながら、菊葉ちゃんの頭を撫でている。
菊葉ちゃんはすごく嬉しそうに瑠璃葉の肩に頭を寄せている。
きっと菊葉ちゃんは瑠璃葉のことが大好きなんだろうな。
パンッ
微笑ましい二人を見ていたら、琴葉さんが手を叩いた。
「…積もる話もあるだろうし、折角来たんだ、食事を食べていきな」
琴葉さんが手をもう一度叩くと、部屋の出入り口から毛倡妓の皆さんが豪華な食事を運んできた。
小難しい話はひと段落し、私達は食事をしていくことになった。