こころ
狂愛
ぽっかりと大きな穴があいてしまった。
別れたら楽と思ったら大間違えだった。
毎日することがなくなり、悩む日々。
あたしは壊れそうになった。

たっちゃんのバイト先に何度か行った。

「バイト中にこんといて」
「俺もう彼女おるから困る」

こんなセリフをはいて追い返された。

彼女?

彼女って?

ああ、たっちゃんはあたしを忘れようとして作ったんだな、かわいそう。

勝手な妄想が頭に浮かぶ。

でもショックはでかかった。

ふらふらっと何ももたずにバイト先に行ったこともある。
しんどくて泣きながら訪ねたこともある。

たっちゃんのバイト先を放火しようと本気で考えていた。
すべてバイトが悪いんだ。
バイトせいにしてた。

あたしは次の月の記念日、付き合ったあの場所で自殺未遂をおかした。

ひとりで行って、たっちゃんとの思い出の街を歩いた。

手には二人でとった写真をもっていた。

この場所で、たっちゃんの写真をもって死ねたらシアワセだ。
そう思った。
もうひとりなんだ、悔いはない。

でもやっぱり未遂でおわる。


たっちゃんには誕生日もバレンタインもプレゼントを送った。
家に訪ねたこともあった。
このときはさすがに出てきたけど、あたしたちが戻ることはなかった。

たっちゃんは癌かもしれない。だから別れようと言ったんだ。
と、思っていたこともある。

たっちゃんは変わってしまったんだ。
もうあのときのたっちゃんはいない。
こう思うには時間がかかった。

あたしは宛名のない手紙をよく書いた。
たっちゃんへの問いかけの言葉を。
無駄なことだとわかっていても自己満だった。

たっちゃんのいない世界は真っ暗だった。

何かあるたびに思い出のノートをみたり写真をみて泣いていた。

ただ逢いたい。

あのときのたっちゃんはどこへ…?

あたしはずっと引きづったまま。
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