神様の悪戯
「死んだことになってる?」
ルークは、報告した者に振り替えって問いただした。
「ボクが嘘でも言ってると?」
いや、と否定しながらもルークはサイシャを見る。
サイシャは嘘をつく男ではないことはルークも分かっている。だからこそ彼の報告には戸惑いを隠せない。

アリシアは死んだことになっていた。
なるほど、相手の対応がおかしかったのはそのせいか。

ルークは、あの夜の後、ヴァンリードに使いを出したが、アリシアはヴァンリードにいるとの返事があった。
ルークの元にいるのはアリシアだ。
10年振りとは言え、間違える訳がない。
では、ヴァンリードにいるアリシアは何者だ?

彼の疑問をとくために、
彼の周りで一番身軽な…と言うとサイシャは不快に思うかもしれないが、世話役という都合の良い役を楽しんでいる彼に、ヴァンリードへ行ってもらうことにしたのだ。

「さて、ルーク王はどうするおつもりか?」
わざとらしい敬語は止めろ、呟いたルークは腕を組み窓の外を眺める。

腑に落ちない。
性急過ぎないか?確かに賊に襲われたことが証拠として残っていても、1ヶ月で葬儀も済ませるなんて。
しかも、躯(彼女は生きているが)も無いままに埋葬する?

別人と間違われた?
それとも…?

「帰れないなら、此方の国で過ごすのも良かろう。ただ、彼女が望んだらだ。」
「おや?手元には置かないのか?」
サイシャはわざと驚きの表情をする。

「君のあの時の姿を見て、帰すつもりはないと思ったけどね。」
「サイシャ…」
「そんなに、怒らない。ボクは嬉しかったんだから。」

立ち上がって、サイシャはルークの横に立つ。
「キミは、自分に厳しすぎる。王の立場もあるだろう。なのに、彼女の元へ頻繁に通っているじゃないか、ボクはキミが彼女に対して、良い感情を抱いていると思ったよ。」
「昔の恩を返したまでだ。」

昔のことを言われるとサイシャは何も言うことができない。
遊学という体の良い人質。
周りは彼に対して冷たく、身の置き所のない生活の中、ヴァンリードの王子とアリシアだけが唯一心許せる相手だったのだ。

アリシアはまだ幼く、話し相手にもならなかったが、常にルークの後を付いてきていたことが懐かしい。



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