空の窓から

一本道の曲がり道

休日。


ふらりと散歩に出かけ、河川敷の辺りまで来た窓香。

少し休もうかな、と近くを見渡す。


最近手入れされたのだろう、草は綺麗に生え揃っている。

寝転ぶと気持ちの良さそうな辺りを選んで、腰を落とす。


ポケットの中の携帯から、今の気分に合う曲を選び出す。

曲が流れ出した頃には、窓香の視界には美しい青空が広がっていた。

目を閉じると、辺りに漂っている青々とした草の匂いがより濃く感じられ、自分もまるで草に同化したような感覚に陥る。


イヤフォンから流れ出る曲に耳を傾けていると、だんだん眠気がやってくる。

ここで寝るのはマズイ気がするな…と、眠気に逆らおうとしてみる。


それでも、気持ちの良さに負けて、夢の国のご招待に応じてしまいそうになった窓香。


とりあえず、目を開けてみる。 パッ。




……なんで居るのさ。

この時ばかりは、笑うしかなかった窓香さん。


軽く笑みを浮かべ、体を起こしながらイヤフォンを耳から外す。

「いつから居たの?」とだけ聞き、鞄の中に携帯を仕舞う。


"お互いのことは、まぁまぁ知り尽くしている相手"は、「ついさっきだよ。」

そう言いながら、窓香の左側に、並ぶようにして座った。

「遠くから見てたら、窓香みたいな人がいるなって思って。それで、近くまで来てみたら、草むらで寝転んでるんだもん。私、びっくりしちゃった。」

「そんなにびっくりする?」

「するする。」

「なんで?」

「え、だって草むらに寝転んでるんだよ、普通しないでしょ…」

「………。そうかな…。」


"お互いのことは、まぁまぁ知り尽くしている相手"は、少し笑いながら「良いと思うけど。」と言い、そこで一度区切ってから、言葉を続けた。

「気持ちは分からなくもないし…。…それに、そういう所は窓香の好きなとこだよ。」


「んー………。そっか。」


「そうだよ。」
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