きっともう大丈夫
「ね・・・そろそろさー入らない?」
ハルは缶ビールの残りを飲み干した。私は立ち上がり部屋の中に入ろうした。
すると・・・
「そこじゃないでしょ?」
腕を掴まれる。
「部屋の中に入らないで何処に入るのよ」
ハルはすぐ横を指さした。
「入るのはお風呂。俺たち温泉入りに来たんでしょ~」
気分はまるでキャンプの様だったのですっかり忘れてた。
「じゃあ・・・ハルが先に入っていいよ」
笑顔で答えると
「は?何言ってんの?一緒に入るんだよ。一緒に・・・」
「えええええ!」
私のリアクションにハルは呆れている様で
「えええええ!じゃないんだけど・・・何のためにここにしたのか
沙希全くわかってないよね。」
「温泉だから・・だよね?」
「そう!温泉だけど、ここにしたのは2人で楽しむためなんだけど・・・」
「・・・・・もしかして2人で一緒に入るって事?」
「もしかしなくてもそうなんだけど・・・だから・・・入るよ」
ちょ・・ちょっと最後の言葉ほとんど命令だよね。
私はハルに引っ張られるように露天風呂の横にある狭い脱衣所まで来た。
ハルは半分拗ねながら
「もうちょっとムードを盛り上げながらと思ってたのに」
とつぶやくといきなり私に向かって「はい!両手を高く上げて」と
命令口調で言う。
これ以上雰囲気を壊すといけないと思い仕方なしに両手をあげる。
するとハルは私の着ているスウェットのロングワンピースの裾を掴み
一気に上までたくしあげた。
いきなりの出来事に驚いちゃうし、服はもう私の目線を超えていて
何も見えなくなってて恥ずかしさでいっぱい。
「ちょ・・ちょっと・・なんで?自分で脱ぐよ・・ハル?」
「嫌だね。俺が脱がす」
そう言った時にはもうすでに脱がされた後でワンピースを脱がされた私は
下着姿となった。恥ずかしくて後ろを向けば今度はブラのホックを外され
後ろを向いた事を深く後悔した。しかもびっくりしたのはそれだけではない。
パンツにはで手をかけて・・・
これじゃーまるで幼児じゃないの。
恥ずかしくってもう前を向けないと思っていると。
ハルも既に服を全て脱ぎ捨ててあるじゃないの。
「沙希・・・入るよ」
そういって手を握られ
私たちは2人でお風呂に入った。

「今のはちょっと乱暴じゃないの?」
やっぱり納得できない
私はハルの胸にもたれかかる様に座っているから
ハルの表情などわからない。
ハルは私の方に顎を乗せ
「もうちょっとムードを出したかったのに沙希があまりにも鈍すぎて
ムカついた。でもあんな脱がせ方して悪かったよ」
この状態じゃ~本当に反省してるのかわからない。
「あんな脱がせ方小さい子供と一緒じゃない」
「でも万歳して?って言うよりはいいでしょ。そこはあえて言い方変えたし」
「それでも・・・」
言葉が止まった。
「沙希?」
「ごめん・・・ハルは私を喜ばせようといろいろとしてくれてた事わすれてたよ。こんな素敵なコテージと美味しい料理、花火に満天の星空・・・・ありがとう。ほんとうにうれしいよ。」
私はハルの腕に自分の手を重ねた。
「あーずっとこうしていたいよ」
抱きしめられた腕がさっきよりも強くなる。
「私も・・・」
「もう・・・俺以外の人の物にならないで」
「私だって・・・もうアラフォーの仲間入りなのよ。もしハルに愛想尽かされたら生きてけない」
「んなわけない!」
ハルは私を向かい合わせると
額から順にキスをした。
「この額も・・この目も・・・・鼻も・・・頬も・・・口も・・・みんな俺の物だから
誰にもわたさねぇー」
そして私たちは吸い込まれるように唇を合わせた。
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