きっともう大丈夫
ハルははっきりいってかっこいい。だから学校でもかなりもてるんじゃないかって思っていた。
きっと女の子から告白されたりしてるんだろうとも思った。
なのになんでよりによってこんな9歳も年上の私なの?
全くハルの考えてる事がわからない。
気持ちを落ち着かせるために一旦、コンビニの駐車場に入る。
ハルは言うだけ言うとそれ以上何も言わないし
返事の答えの催促もしてこなかった。
そして妙な沈黙が続く。
もし私が男だったら・・・きっと即OKだっただろうな。
だけど私は女だ。
実際今日だってきっと姉弟くらいにしかみられてなかったと思う。
ハルのこと嫌いじゃないけどたぶん無理・・・
来週のリニューアルオープンの時に私はいない。
私はもうあの店の店長ではない。
沈黙を破ったのはハルだった。
「・・・・迷惑だったかな・・・」
「そ・・そんなこと・・・ない・・・。」
言われていやな気分になる訳じゃない。
OKと言えないのは私が仕事を辞めたことと、年齢だけ・・
私は再びハンドルを握りしめ。車を発進させた。
「俺・・・よく女の子から好きだって告白されるんだ・・でも断っていた」
「うん・・・だろうと思った」
「俺のことよく知りもしないのに好きだの付き合ってだのが凄くウザかった」
「うん・・・」
「そんな俺が生まれて初めて好きだと思ったのが沙希さんだったんだ。
 でも・・・俺振られたのかな?・・・迷惑そうだし・・」
「迷惑とかじゃないの・・・ないんだけど・・・」
「じゃあー何が?何がネックなの?」
「・・・・年齢よ・・・・私にはあなたと軽々しく付き合えるほど器用じゃないから」
本音がぽろっと出てきてしまうがもう撤回も出来ないし、する必要もない・・
「・・・・そんなに気になるもんなの?何か納得できない!」
もし逆の立場ならきっと同じことを思っただろう。
またしばらく沈黙が続き、待ち合わせだったコンビニに着いた。
車から降りたハルは運転席の方まで来ると
「俺、諦めないから・・・またしつこく通うから」と言った。

・・・・私が辞めたって知ったらどうなるんだろう。
きっと怒るよね。でも仕方がないんだよ。
私はハルをじっと見つめた。
そして今日のデートのお礼と、私のことを好きと言ってくれたお礼、
これが最後だという意味をこめ最初で最後のキス・・・唇に触れるだけどキスをした。
「ハル・・・ありがとう。・・・さよなら」
そう言って車の窓をしめ、そのままコンビニを出た。
残されたハルはただただ茫然とするしかなかった。 
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