きっともう大丈夫

彼女がここにいない訳  sideハル

「・・・ちっくしょー」
それ以外何も言えなかった。
大好きな人にキスされ有頂天になってた自分が馬鹿みたいじゃないか。
『ハル・・・ありがとう。・・・さよなら』
まさか本当のサヨナラだとは思いもしなかった。
haluluのリニューアルオープンの日、沙希さんの姿を見ることはなかった。
スタッフの多恵さんから「店長がお店を辞めた」とだけ・・・・
多恵さんも真帆さんも辞めた理由を知らない。
動物園デートの時、沙希さんの様子がほんの少しだけど変だった。
そのことを聞こうとしたが軽くかわされた事を思い出した。
あのデートの時にはすでに沙希さんは会社を辞めていたんだろう。
だったら俺が、どれだけ想いを寄せていようが沙希の返事は決まってたはずだ
そんなことも知らないで俺は沙希さんに思いっきり告っていた。
彼女はどんな思いで俺の告白を聞いていたんだろう。
「俺、諦めないから・・・またしつこく通うから」って・・・
どこへ通えば彼女に会えるんだよ。
ちゃんちゃらおかしいよな~~俺は何度となくため息をつく。
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